[ジョージ・ネイピア] マオリの月に照らされて
ラグビーファン、殊にオールブラックス好きであれば、一度はその名前を聞いたことがあるだろう。
「ジョージ・ネイピア (George Nepia)」
有り余る才能を持つ天才フルバックは、ニュージーランド(特にマオリの間)で最も人気のあるラグビー選手のひとりだ。
若くして「世界最高」の勲章を手にし、幾分ロマンチックな物語で彩られた彼の人生は、決して単純な輝きで満ちているわけではなかった。 (続きを読む…)
シルヴァー・ファーン: 漆黒の夜を照らす再生への道
ニュージーランド代表、オールブラックスの胸に描かれている、シダのマークをご存知だろうか。
「シルヴァー・ファーン」
銀色のシダを意味し、マオリ語では「ポンガ」もしくは「カポンガ」と呼ぶ。
あまりにも有名な、ニュージーランドを象徴するこのマークについて、ちょっとしたトリビアを並べてみたい。 (続きを読む…)
黒の怪物と白の両翼(5): 飛翔
試合終了間際にローリー・アンダーウッドがトライを決める。そしてロブ・アンドリューのコンバージョンが決まると同時に、長かった試合は終わりを告げられた。
それと同時に、興奮した観客がフィールドへ続々と降りてくる。この試合で歴史に深く名を刻むことになった男を少しでも間近に見、手を触れ、空気を感じようと、群集はジョナ・ロムーを取り囲んだ。
そんな彼らの祝福をかきわけながら通路へ進むジョナは、トニー・アンダーウッドが近づいてくるのを目の端に捉えた。 (続きを読む…)
黒の怪物と白の両翼(4): 薔薇は美しく散ったか
ロブ・アンドリューのドロップキックがバーの間を通過した瞬間、トニー・アンダーウッドはワールドカップ優勝を果たしたかのような喜びに包まれた。
彼だけではない。イングランド代表の選手全員、いや、全てのイングランドファンが、優勝を確信するかのように飛び跳ね、抱き合い、ガッツポーズを繰り返した。
準々決勝のオーストラリア戦である。
22-22の同点で、試合時間は80分を過ぎインジュアリ・タイムへ。延長戦に入る直前の、まさにラストプレーであった。 (続きを読む…)
黒の怪物と白の両翼(3): 昂まり
オールブラックスとイングランドが最後に対戦したのは、1993年だった。その試合でニュージーランドは、イングランドに対して10年ぶりとなる敗北を喫している。
当時まだ18歳。当然代表入りしていなかったジョナは、テレビでこの試合を観ていたことを思い出す。あの時、既に将来オールブラックスに入ることを確信していた彼は、自分が共に闘っているような気持ちで画面に食い入っていた。
試合終了時の、選手たちの悔しく哀しそうな貌。今は良き先輩であり仲間である彼らの、あの時の表情を今でもハッキリと思い浮かべることが出来る。 (続きを読む…)
黒の怪物と白の両翼(2): その朝
ジョナ・ロムーの名をラグビー史に決定的に刻むことになるイングランドとの準決勝戦の朝。ケープタウンの街が薄明かりに包まれるのを、ジョナはカーテンの隙間からぼんやりと眺めていた。
その夜、ジョナはほとんど寝ていなかった。眠れなかったのだ。
彼はその巨体を、出来るだけ音をたてないようにしながらベッドから抜き、隣のベッドに眠るフランク・バンスを起こさないよう、そっと廊下に出る。特に目的があるわけではなかった。ただ、ウロウロと徘徊する。 (続きを読む…)
黒の怪物と白の両翼(1): 2分間の粉砕劇
1995年に南アフリカで行われた、第3回ワールドカップ。優勝したのは、開催国のスプリングボックスであった。表彰式は人種隔離政策撤廃後の民族融和を象徴するものとして、単なるスポーツイベントを超えた感動を世の人々に与えた。
しかし、ラグビーファンにこの大会の主役を尋ねれば、殆どの人が挙げるのは決勝で敗れたオールブラックスの怪物『ジョナ・ロムー』の名前であろう。
特に彼の名を世界に知らしめたのは、準決勝戦。その最初の2分間で、イングランドが誇る両翼はズタズタに粉砕された。 (続きを読む…)
NZとアパルトヘイト(3/3): 傲慢な騎士たちの憂鬱
“The Springboks Tour“から4年後にあたる85年、ニュージーランドラグビー協会はオールブラックスの南アフリカ共和国遠征を計画する。しかしこれは、反アパルトヘイト派の弁護士による協会憲章に矛盾するとの訴えを受け、法廷闘争となった。結果として高等裁判所はツアーの中止命令を出し、計画はキャンセルされた。
ところが一部のマネージャー達は、この「興行」をあきらめなかった。翌年、企業と提携して遠征費を作り、ラグビー協会とは別の「あくまでプライベートな催し」として、南ア遠征を決行してしまう。便宜上「キャバリアーズ」(The Cavaliers)と名づけられたチームは、しかし実質的には「オールブラックス」であった。 (続きを読む…)
NZとアパルトヘイト(2/3): 晴れ、ときどき小麦粉
前回の「黒いユニオン・ジャック」で、背景にある大まかな流れを見てきた。今回は、そんな不穏な空気の下で行われた1981年のスプリングボックスによるニュージーランドツアーの様子を振り返りたい。
五輪をボイコットしたアフリカ諸国や、HARTなど国内の反アパルトヘイト活動家達の突き上げも厳しさを増す中、南アフリカ代表・スプリングボックスによるニュージーランド遠征が企画される。ニュージーランド政府は「政治とスポーツを混同すべきではない」というポリシーの下に、またしてもこれを了承。当然ながら大論争が巻き起こった。 (続きを読む…)
ブレディスローカップの当日チケットについて
いよいよ、ニュージーランド代表・オールブラックス vs オーストラリア代表・ワラビーズの一戦が明日に迫りました。
ここ数日、ブレディスローカップのチケット関連キーワードで検索されている回数がやはり多いので、直前ではありますが当日券の情報を確認できた範囲で載せておきます。
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トライネイションズ2009を2年後を見ながら軽く振り返る
2009年のトライネイションズが幕を閉じました。
戦前からの予想通り、南アフリカ・スプリングボックスの完勝と言ってよい内容だったと思います。
ワラビーズはまだまだ若手主体の再建途上、オールブラックスはあまりにも出来が悪かったなどありますが、やはり総合力でスプリングボックスが抜けていたように感じます。
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トライネイションズ 2009
ニュージーランド・オールブラックスの5連覇がかかるシーズンであったが、優勝候補筆頭は開幕前より南アフリカ・スプリングボックスであった。
2007年のワールドカップ優勝以来、南アフリカはキャプテン・スミット(J.Smit)を中心に世界最高の誉れも高いマットフィールド(V.Matfield)とボタ(B.Botha)の両ロック、SH デュプリー(F.du Preez)、SO ピナール(R.Pienaar)、最速ウイング ハバナ(B.Habana)らのベテラン・中堅勢にモルネ・ステイン(M.Steyn)、フランソワ・ステイン(F.Steyn)、ブルソー(H.Brussow)などの若手が大きく成長し、黄金時代の様相を呈しつつあった。
これに先立つスーパー14でもBullsが圧倒的な強さを見せて優勝。続くライオンズツアーにも勝ち越し、まさに絶好調であった。
一方でオールブラックスは多くのワールドカップメンバーが海外流出。特にFly-half カーター(D.Carter)の期限付き移籍と、その際の怪我による不在が大きく響く。
また、ワラビーズはグレーガン(G.Gregan)、ラーカム(S.Larkham)という長年チームを支えてきたベテランの穴を埋めるべく若手の起用が目立つが、スプリングボックスほど世代交代はうまくはいっておらず、新ヘッドコーチ ディーンズ(R.Deans)の元での再建が始まったばかりであった。
大会の趨勢は、シーズン開始すぐのオールブラックスの南アフリカ遠征2連戦で、ほぼ決まってしまう。
得意の空中戦で主導権を握るスプリングボックスに対し、オールブラックスはミスを連発。点差以上の圧倒的な差を見せつけて南アフリカが2連勝し、ニュージーランドを世界ランキング1位の座から引き摺り下ろした。
その後も、南アフリカは何人かの怪我人を出すも、更に多くの怪我人を続出させるオールブラックスや、善戦するも及ばないワラビーズを尻目に勝ち星を延ばしていく。
ところが、勝てば優勝が決まるという第7週のワラビーズ戦、スプリングボックスは思わぬ不覚を取る。
ここまで全勝のスプリングボックスと全敗のワラビーズであったが、積極的にボールを動かして南アフリカの空中戦につきあわないゲームプランで、南アフリカをノートライに抑えて完勝する。
これによりオールブラックスにも逆転優勝の芽が生まれる。続くニュージーランドでのオールブラックス対スプリングボックスでは、オールブラックスがどこまでチーム状態を建て直し、ワラビーズの勝利からヒントを得ているかに注目が集まった。
試合はスプリングボックスが得意のキックでゲームを組み立てる試合展開。試合開始早々FBフランソワ・ステインの長いPG2本で、相変わらずミスを連発するオールブラックスを相手に主導権を握ると、ラスト10分でようやく展開ラグビーを見せ始めたニュージーランドの猛攻を退け、4度目のトライネイションズ優勝を決めた。
トライネイションズ (Tri Nations)

ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3ヶ国による南半球王座決定戦。
オールブラックス(NZL)、ワラビーズ(AUS)、スプリングボックス(RSA)の各国代表が威信をかけて激突。ワールドカップ過去7大会のうち5回の優勝をこの3ヶ国で占めており、近年はこの大会の優勝チームが事実上の世界最強と言ってもよい状態になっている。
スーパーラグビー終了後に開催されるため、リーグ戦で優勝を望めなくなったチームの選手もトライネイションズへの選出を目指してモチベーションを高める。
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ラグビー ニュージーランド代表 (オールブラックス)
「ラグビー」はほとんど知らなくても、「オールブラックス」は聞いたことがある。そんな人も多いのでは。
ワールドラグビーの代名詞、漆黒の覇者・オールブラックスは、ニュージーランドのナショナルチームの呼称。
その名は世界中のラガーマンやラグビーファンから、ある種「特別」なものとして、憧憬や畏敬をもって語られるワールドラグビーのカリスマ。
通算対戦成績で全ての国に勝ち越している唯一のチームであり、国際試合の総勝利数でも世界最多。
オーストラリア、南アと3国で争う南半球王者決定戦・トライネイションズでは、13年のうち9回優勝。
イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズを相手の同一ツアーで全勝する「グランドスラム」を達成すること3度。
2001年からのIRBアワードで最高チームに選ばれること4回(最多)。
IRBラグビー殿堂入りプレーヤー15名(最多)。
100年を越す栄光に彩られた歴史は、ラグビーを国技とするニュージーランド国民の誇りとなっている。
しかしその輝かしい戦歴も、ことワールドカップに舞台を限ればくすんでしまう。第1回大会こそ地元での優勝を飾ったが、その後は決勝トーナメントで足元をすくわれることが続き、栄冠から遠ざかってしまっている。そんな大舞台での弱さをして「ガラスの王者」などと呼ばれることもあり、2011年のニュージーランド大会では何としてでも2度目の優勝をはたし、王者たる姿を見せなければならない。 (続きを読む…)









