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[ニコラス・プエタ] 克己のラグビー魂

彼が話し終えた時、小さな講堂に集まった少年・少女たちの瞳は、一様に興奮の熱気を帯びていた。

彼は現在、アルゼンチンの小さなクラブラグビーの選手であり、スポーツに特化した旅行代理店の社員であり、モチベーショナル・スピーカーとしても世界各地で講演を行っている。

男の名前は、ニコラス・プエタ(Nicolas Pueta)。2007年にはIRBより表彰を受けた選手だ。しかし、そんな彼の名をアルゼンチン代表やトップクラブのリストに、見つけることは出来ない。 (続きを読む…)


ラグビー アルゼンチン代表 (ロス・プーマス)

国旗と同様、薄い水色と白のストライプジャージに身を包み、「ロス・プーマス」の愛称で知られるアルゼンチン代表。
ラグビー後進のアメリカ大陸にあって図抜けた最強チームというだけでなく、近年では世界最強国のひとつとして胸を張って数えられる。

地理的にも他の強豪国から隔離されているが、選手やコーチの交流面でも同じことが言え、そのプレースタイルも独自の進化を遂げてきた。欧州やオセアニアでは、各国の特徴に違いはあれど総じてディフェンスシステムの完成に注力され、最早キックの多用やルール変更でないとつき崩せないところまで突き詰められつつある。対してアルゼンチンではスクラム力・キック力・精神力・走力といった個々/チームの個別のスキルを鍛え上げることで総合力を積み上げているようだ。これは言ってみれば、世界の強豪達が将棋の戦術を研究し尽くしている間に、アルゼンチンは斜めにも動ける飛車や最初から成っている歩を開発していたようなものであろうか。結果としてプーマは、完成されたシステムを力で度々喰い破っている。

アルゼンチンはこのような独自の育成方法を変えていくつもりは現在のところ無いようで、ヘッドコーチも伝統的に他国から招かない方針を採っている。最近ではむしろ逆に、たとえば2007年のワールドカップまでプーマスの指揮をとった Marcelo Loffreda が英国 Leicester Tigers のコーチに招聘されるなど、頭打ちを感じている古豪国がアルゼンチンの指導者を求めるようなケースも出てきている。 (続きを読む…)